引き続き南海初期新性能シリーズになります。
21000系は鉄コレでは地方鉄道へ譲渡された車両となる第3弾に始まり、
その後、それぞれ単独でのセット販売になりました。
南海時代の4連もセットで通常販売されました。
今回はその4連のセットとなります。
前項で昭和29年に南海最初の高性能車両となる11001系が登場した事は説明しましたが、
高野線に於いても高性能車両の投入が計画されていました。
ただ、高野線は橋本以南、とりわけ高野下~極楽橋の間で50‰の急勾配が存在する一方で
河内長野以北の平坦区間では高速運転が求められます。
そこで急勾配にも高速運転にも対応できる補償線輪付モーターの開発を行います。
このモーターは木造車であるモハ1形(旧1024形)を使用してテストを行い、
この結果が良好だったことからこのモーターを採用した車両を製造、昭和33年に21000系が登場します。
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モハ21002形(Mc2) 極楽橋側 |
この車両は11001系2次グループ以降の湘南顔の車両を17mに縮めたスタイルとなっている一方で、高野線内は山岳区間に入るとトンネルが多いことからパンタグラフ折畳高さが4,000mmとしています。
実車が装備しているパンタグラフは11001系(→1000系)と同じPT-35S-Zですが、例によってPG-16を取り付けました。
台車は第4編成までがFS-17、それ以降がヨーイングダンパ装備のFS-17Aとなっています。
販売されたモデルは旧塗装/新塗装とも第4編成以降の車種で、台車もFS-17Aとなっています。
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モハ21101形(M1) |
モーターは先述の通り東洋電機製の補償線輪付TDK-820-B形70Kwを装備、
駆動装置は11001系で実績のある中空軸並行カルダンを採用しています。
制御器は東洋電機のACD-10形発電ブレーキ付多段式制御とし、ブレーキはHSC-D電磁直通ブレーキを採用しています。
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モハ21100形(M2)(走行化に際して本車をM車にしています) |
車内は内張を薄茶色木目のアルミデコラ、座席上部に読書灯を設け、蛍光灯は3列としています。
座席は当初第4編成までが扉間転換クロス、それ以降を全席ロングシートとしていましたが、
第3、第4編成については後にロングシートに換装されています。
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21001形(cM1) なんば側 |
本車は1500V昇圧に際して11001系と異なり全車が改修対象となり、後に増備型である22000系に準じた改修を受けました。
従来の21000系は4M1Cの単独ユニットで全車にパンタグラフを装備していましたが、
本改修でcM
1+M
2-M
1+Mc
2となる8M1Cの2両ユニットに変更、制御器もMMC抵抗制御となりました。
尚、機器配置は奇数車cM
1/M
1はパンタグラフ2器とMG、CPを装備し、偶数車M
2/Mc
2は制御器と抵抗器を装備しています。
また、昇圧対応によりモーター出力が70Kw→90Kwに若干ながら上がっています。
この改修では1000系同様クーラーの装備も行われています。
1000系同様おそらく構造上の事でしょうが集中クーラーを採用しています。
但し、1000系とは違い日立製FTUR-550-210Dとなっています。
そうそう、連結器についてですが難波側と極楽橋側で異なっています。
極楽橋側はダミーカプラーそのままにしているのは21000系の場合、極楽橋側で連結することが運用上ではないからです。一方で難波側は後に増備される22000系との増解結を河内長野(→三日市町→現在は橋本)で行う事から電連付となっています。
ただし、「臨時こうや」として運用される車両については電連付に換装されていませんでした。
昇圧後も主に急行として活躍していた本車ですが、1992年に新塗装へあらためられてゆきます。
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モハ21002形(新塗装) |
見事にヒゲがなくなりました。
おそらく似合わないと思った人も多かったかと思います。
塗装変更を受けながらも活躍していましたが、南海初のVVVFインバータ車である2000系投入が本車の運命を変えることになります。
当初21000系/22000系と2000系を混結させて運用していたものの、相性が悪いと言う事から大運転向け車両を2000系に統一する事となり、これによって高野線を去ることになりました。
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左から21000系新塗装、21000系旧塗装、22000系の並び |
21000系は大井川鉄道、一畑電鉄に譲渡され、一畑電鉄では2017年1月まで活躍、大井川鉄道では2017現在も活躍しています。
因みに両社とも2両単位運用の為、中間車は全車廃車解体されています。
21000系は「ズームカー」と呼ばれますが、その由来は
1.カメラの「ズーム」の様に平坦区間の高速運転から急勾配のある山岳区間まで対応できる車両であることから
2.加速性能と登坂力を航空機の「ズーム上昇」に例えた
とする2説があるようですが、
天空のパンフや車内案内には1.の説を紹介しており、本車を説明している書籍などにも1.の説が掲載されている事が多い(因みに2.の説を紹介している本を私は見た事がないのですが…)事から
1.の説が通説なのかもしれません。
因みに鉄コレ21000系(に関わらず一部の車両)について、走行対応化に推奨されるTM-05ですが、ボディマウントTN化すると見事に干渉します。
適応させるとなると台車に手を加えるか、カプラーに手を加えることになります。
結果としてはカプラーに手を加える方が改修度合いが低いうえに、リスクも低いので
カプラーを改修する方がお勧めです。